天然瓦斯 企業 発祥の地

てんねんがすきぎょうはっしょうのち

いすみ鉄道 大多喜駅から北に500m。県道172号を北に向かい,いすみ鉄道と立体交差するすぐ手前右手に江戸時代の高札場風の案内看板「水溶性天然ガス企業発祥の地」が目に入る。更にその奥に進むと左手の植え込みに「関東天然瓦斯開発株式会社」と刻まれた 石碑が建っている。

房総半島から東京都・埼玉県南部・茨城県南部・神奈川県東部にまたがる 広い地域には天然ガスが埋蔵されており“南関東ガス田”と呼ばれる。この地域では古い時代から天然ガスの存在は知られていたらしいが,1891(明治24)年に大多喜町で井戸を掘削したところ,天然ガスを含んだ地下水を掘り当て,家庭用の燃料や照明用として用いられた。

昭和6年(1931) この地に大多喜天然瓦斯株式会社が設立され, 周辺に都市ガスとして供給されるようになった。その後昭和32年(1957) に社名を「関東天然瓦斯開発株式会社」と変更している。

関東天然瓦斯に続いて帝国石油など数社によって房総半島での天然ガスの開発が進められ, その一部は現在も稼働している。東京都では江東区・葛飾区・江戸川区などで採掘が行われたが,地盤沈下防止のために地下水の汲み上げが規制されたため操業継続が困難となり,昭和47年(1972) までに全面中止となった。

写真

  • 水溶性天然ガス企業発祥之地 説明
  • 水溶性天然ガス企業発祥の地
  • 水溶性天然ガス企業発祥の地
  • 天然瓦斯企業発祥の地 背面 碑文
  • 天然瓦斯企業発祥の地
  • 関東天然瓦斯開発 大多喜出張所
  • 天然瓦斯企業発祥の地

碑文

天然瓦斯企業発祥の地

関東天然瓦斯開発株式会社
 取締役会長 重光武郎書

 昭和6年5月当社の前身大多喜天然瓦斯株式会社がこの地にわが国最初の天然ガス企業化を実現させた これより大多喜町をはじめ各地に都市ガスを供給し あるいは諸工場を誘致して事業および地域社会の発展に努めたのである 創業50年を記念してこれを小碑に誌し後世に伝える次第である

昭和50年5月

関東天然瓦斯開発株式会社

水溶性天然ガス企業発祥の地

関東天然瓦斯開発株式会社(旧大多喜天然瓦斯株式会社)
Kanto Natural Gas Development Co., Ltd. ( the former Otaki Natural Gas Co., Ltd. )

 千葉県で産出される天然ガスは,地下の地層水「かん水」に溶けた状態で埋蔵されている水溶性天然ガスで,第三紀鮮新世から第四紀更新世の地層に分布しています。
 このガスは,明治時代から,大多喜,茂原地方の民家井で湧出し利用されてきました。
 企業による天然ガスの採掘・供給が行われたのはここ大多喜町で,昭和六年五月,資本金百万円で創業した大多喜天然瓦斯株式会社(現関東天然瓦斯開発株式会社)によるものでした。 昭和五年に大多喜鉱業組合によって大多喜駅北側附近に掘られ,同社が引き継いだ第一号井は深さ約六百三十一メートルで,日産出量三千二百立方メートルの天然ガスが自噴しました。
 その後,井戸の追加の掘削,夷隅川に管を渡す工事などを経て,町内へ供給が行われたのは昭和十年四月のことでした。
 この天然ガスは,工業用,家庭用としてこの地域の発展に大きな役割を果たしました。

関東天然瓦斯開発株式会社グループ社史
            『五十年の歩み』より

地図

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大多喜町猿稲 付近 [ストリートビュー]