天保水滸伝 発祥之地

てんぽうすいこでんはっしょうのち

成田線 笹川駅から北東に600m。国道356号 利根水郷ラインに面して諏訪神社があり, 神社の北東側の奥に真言宗 延命寺(東庄町笹川い597)がある。さほど大きくはない寺の境内の中央付近の黒い石柱に「天保水滸伝発祥之地」と刻まれている。

もともと「水滸伝」とは15世紀ごろに中国でまとめられた大作の通俗小説で, 講談のように語られたものらしい。江戸時代中期になるとこれが日本語訳されて日本にも紹介され, さらに「本朝水滸伝」のように 日本を舞台にした翻案が作られるなど広く普及した。現代においても, 吉川英治の「新・水滸伝」北方謙三の「水滸伝」をはじめとしていくつもの作品が発表されている。

「天保水滸伝」もその流れの一つとして作られたと考えられ, 浪曲や講談で取り上げられている。
初代の宝井馬琴が1850(嘉永3)年ごろに作ったものがもとになっていると言われるが, 残念ながら 十分な資料が見当たらなかったため, これがどこまでフィクションでどこまでが実際にあった話なのか, など詳しいことは分からない。

ストーリーは, 利根川の流域にある笹川(現 東庄とうのしょう町)の侠客 笹川繁蔵と, 飯岡(現 旭市)に博徒として勢力を拡げた飯岡助五郎の二人の勢力争いを描いたもの。『利根の川風袂に入れて 月に棹さす高瀬舟』という玉川勝太郎の浪曲の一節は有名である。

ここ延命寺は山号を“笹川山”といい, 境内に笹川繁蔵の碑・平手造酒の墓などがあるなど,天保水滸伝ゆかりの場所となっている。延命寺の南には“天保水滸伝遺品館”もある。

写真

  • 天保水滸伝発祥之地
  • 天保水滸伝発祥之地 背面
  • 笹川繁蔵乃勝負石
  • 笹川繁蔵之碑

碑文

天保水滸傳發祥之地

笹川山 成蓮院 延命寺

天保水滸傳実録五千部刊行記念
平成十六年四月吉日 野口政司 建之

地図

地図

東庄町笹川 付近