全国 水平社 創立の地

ぜんこくすいへいしゃそうりつのち

平安神宮の南, 岡崎公園と並んで京都会館がある。京都会館と同じ敷地内に京都市美術館別館があって, その前に 二枚の石板を平行に立てた形の ユニークな記念碑が建っている。これが「全国水平社創立の地」の碑である。

大正11年(1922),全国の被差別部落から 約3000人が この地に集まり, “全国水平社”の創立大会が開かれた。 「被差別部落民自身の手で解放を実現しよう」とする 水平社運動は, その後 昭和初期にかけて 全国的な運動を展開したが, 第二次世界大戦中に 政府や軍部の圧力により抑制された。

戦後 昭和21年(1946)に 再組織化され, 昭和30年(1955)に “部落解放同盟”と改称して 今日に至っている。

この石碑は 創立大会が開かれた 旧岡崎公会堂の跡を示すもので, 水平社創立60周年を記念して 建立された。

なお 旧岡崎公会堂は, 昭和6年(1931)に“京都市公会堂”として 鉄筋コンクリート造2階建に生まれ変わり, 更に“京都会館別館”を経て, 平成12年(2000)に “京都市美術館別館”となった。

写真

  • 全国水平社創立の地
  • 全国水平社創立の地 碑陰
  • 全国水平社創立の地 碑陰
  • 全国水平社創立の地 碑陰

碑文

全国水平社創立の地

建立の辞

  大正十一年三月三日、全国から三千人の部落大衆が、この地、京 都市岡崎旧公会堂に集い、歴史的な全国水平社創立大会を開いた。 永い間の差別と屈辱の鉄鎖をみずからの力と団結によって解き放と うとする部落大衆はここに蹶起した。人間の自由と平等を求めてや まないこの炬火はついに燎原の炎となって燃えあがっていった。

水平社はかくして生まれた
人の世に熱あれ、人間に光あれ

と結ばれたこの創立宣言は、日本の近代民主化に黎明をもたらす最 初の人間宣言の栄誉を担うものとなった。
  それはこの宣言が単に部落解放のみならず、すべての人間の解放 を目指す普遍的な原理に根ざしているからである。
  このようにして生まれた解放運動は、幾多の試練と苦難を克服し て、今もなお発展継承されている。
  本日、ここに水平社創立六十周年を記念して永く先人の偉業をた たえるとともに、国民的課題として部落差別を解消する決意を表わ すため、この碑を建立するものである。

昭和五十七年三月三日  京都市

地図

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京都市左京区岡崎最勝寺町 付近 [ストリートビュー]