全日本 断酒 連盟 発祥之地

ぜんにほんだんしゅれんめいはっしょうのち

土佐電気鉄道伊野線 大橋通り電停から。天神橋通商店街を南へ200mほど進むと下司げし病院がある。病院入口脇に「全日本断酒連盟発祥之地」というパネルが貼り付けられている。

「全日本断酒連盟」は「断酒会」の全国組織で,昭和38年(1963)にこの地 高知市で結成された。

断酒会は,アルコール依存症から回復し自力更生するための相互援助団体で,昭和33年(1958)に高知市の松村春繁氏と下司孝麿氏が中心となって,アメリカのAA(アルコリクス・アノニマス)を参考に“高知県断酒新生会”を結成したことに始まる。断酒会で飲酒の問題についての経験を分かち合い,酒害からの回復のために例会を行う。

“アルコール依存症”は習慣的な飲酒によって,自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなる精神疾患で,薬物依存症と同種のものといわれる。患者は内臓疾患を引き起こすだけでなく,家族や周囲の人間に迷惑をかけたり,種々の事件や事故・問題を起こしたりして社会的・人間的信用を失ったりすることがある。以前はこのような状態になるのは,本人の意志が弱く道徳観念や人間性が欠乏しているからだと考えられていたが,最近では精神疾患の一つとして治療を要するもの(治療により回復する)と考えられるようになっている。

アルコール依存症の治療法は現在のところ「断酒」(酒を断つこと)以外にないと言われる。アルコールを断つことは,麻薬や他の薬物の依存症と同様に並大抵の努力ではない。精神的な努力だけではおさまらんず、日本は社会的にも飲酒に寛容で、昨日まで飲酒していた者が一切の飲酒を辞めることについて周囲からの誘惑や出世にまで関係すると考えられ、一生涯これを続けることは極めて困難とされる。

「断酒会」は,アルコール依存症患者とその家族によって作られた自助グループであり,会費制で、組織化されており、外部に対してもオープンな姿勢を取っている日本独自の団体。断酒を続けることを互いにサポートし合い、酒害をはじめ、アルコール依存に対する正しい理解・知識を広く啓蒙する活動を行っている。AA(アルコーリクス・アノニマス=アルコール依存者の匿名の会)もアルコール依存症患者の自助グループで,断酒会の原型となった。1930年代にアメリカで始まり、世界180か国以上に拡がっている。断酒会と違うのは,プライバシーを守るためにフルネームは名乗らなず,名簿や会費もなく組織化もされないことである。


断酒連盟プレートの上や下にいつも禁煙プレートが貼り付けてあるようだが、断煙運動にはさほど興味が無さそうだ。

写真

  • 全日本断酒連盟発祥之地
  • 下司病院(全日本断酒連盟発祥之地)

碑文

全日本断酒連盟発祥之地

1963年11月10日結成
1980年11月9日設置

地図

地図

高知市本町3丁目 付近 [ストリートビュー]