本邦 製油 発祥地

ほんぽうせいゆはっしょうち

京都線の山崎駅南に隣接して「離宮八幡宮」がある。神社の拝殿前に「河陽離宮故址」という石碑とならんで「本邦製油発祥地」の碑が建っている。離宮八幡宮の創建は古く, 今から1000年以上も前, 貞観元年(859) の清和天皇の時代に, 九州 宇佐八幡宮から勧請して この地に鎮座したもの。淀川を挟んで対岸の 石清水八幡宮の元社にあたるという。この場所は嵯峨天皇の離宮(河陽離宮)であったため「離宮八幡宮」と呼ばれるようになった。

平安時代の末期に この神社で 「長木ながき」と呼ばれるという道具(搾油器)が発明され,日本ではじめて荏胡麻油の搾油が行われた。最初は神社の燈明のための油の生産であったが, やがて 油は 一般の照明用としても利用されるようになった。格式ある神社に燈油を奉納することは神事とされたため, 時代ごとに 朝廷や幕府から手厚い保護を受け, 油の生産・販売の特権を与えられた。山崎には「油座」(組合)の制度が敷かれ, 離宮八幡宮は油の販売権を独占して栄えた。

現在も社殿の右に, 油壺を持つ神人の像(油祖像)があり,「油の神様」であることを示している。また 全国の油脂製造販売業者を中心に「油祖離宮八幡宮崇敬会」が設けられ, 例年4月には日使頭祭ひのとうさいという 油座ゆかりの祭が行われている。

ちなみに荏胡麻えごまは 胡麻ではなく紫蘇科の植物で, 現在も「しそ油」として食用油として販売されている。

写真

  • 離宮八幡宮 鳥居
  • 離宮八幡宮
  • 本邦製油発祥地
  • 本邦製油発祥地
  • 本邦製油発祥地 背面
  • 本邦製油発祥地 背面
  • 本邦製油発祥地 背面
  • 油脂販売業者の店頭標識 碑文
  • 油脂販売業者の店頭標識

碑文

本邦製油発祥地

皇紀二千六百年十一月吉辰

油脂販売業者の店頭標識

こゝ大山﨑に鎮座の離宮八幡宮は その昔 油座の司として油商人に特許を与え来ました油脂業者と関係の深い神社でありますが その遷座壱千百年記念大祭施行に当りまして 同業者夛数の要望により 全國油脂販売業者共通の店頭標識を制定することゝなり 広く全國から之を募集し 早川康雄 河野應思 𠮷原治良 三氏の審査の結果 甲子園在住の具体美術協会会員島本昭三氏の作品が選ばれ 採用されることになったのであります

昭和三十二年九月十五日

離宮八幡宮遷座壱千壱百年記念奉賛会

地図

地図

乙訓郡大山崎町 付近 [ストリートビュー]