民話発祥地
みんわはっしょうち
東北本線
一関市花泉町の清水地区は、民話「笠地蔵」の発祥地として知られている。この地域が発祥地とされる理由は、地域の伝統産業、地理的背景、および信仰心という点に深く根ざしている。
清水地区は古くから編み笠の生産が極めて盛んな地域であった。農閑期の内職として生活に息づいており、物語に登場する「おじいさんが笠をこさえて売りに出かける」という生活背景が、当時の地域の営みそのものと一致している。
また、行商の地理的条件が物語と重なる。清水地区の近隣では、毎年12月26日に「つめ市」と呼ばれる大規模な年の瀬の市が立っていた。おじいさんが年越し用品を買い調達するために笠を売りにいき、雪の降るなかを帰ってくるというシチュエーションは、この市への行商ルートと完全に合致する。
地域における信仰と伝統の継承として、昭和58年(1983) には、清水地区の八幡神社参道前に六体のお地蔵様が建立された。当時の地元職人が定期的に新しい編み笠を編んで被せる活動を行うなど、民話の精神が実体として地域に保存されている。
写真
碑文
かさこじぞう
笠地蔵の民話は全国に四ヶ所あるといわれますが、花泉地方には次のような民話が伝えられています。
「昔 米がみのらず人々は苦しんでいました。大みそかの日、お爺さんはお婆さんの編んだ笠を売り、せめておいしいものを買って帰ろうとまちにでかけましたが、まちの人々もお金がなく、一つも売れませんでした。
がっかりして家にたえどりつくころ雪が降り出し、道ばたの六地蔵さんたちがとても寒そうでした。お爺さんは可愛いそうに思い、笠を一人一人の地蔵さんにかぶせてあげました。笠は五人分しかなく、一人分はお爺さんのほおかぶりをはずして地蔵さんにかぶせてから家に帰りました。
お婆さんは、お爺さん いいことをしましたね、といい二人は粗末な夕食をとっていました。そこへ、ザックザックと雪を踏む足音がしました。さっきのお地蔵さんたちがたくさんの宝ものを運んで来てくれたのです。」お地蔵様に守られながら、優しい心、思いやる心、いたわる心をはぐくみ、子供達の健やかな成長を願い、この民話を永く伝えるため、ここ清水地区を民話発祥地と推定し、六地蔵を建立しました。
建立以来、地域の皆さんの保存で大切にされています。皆さんもどうぞ保存にご協力ください。
国際ロータリー第二五二〇地区
花泉ロータリークラブ
建立 昭和五十八年十一月三日
解説版改訂 平成十四年三月
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