秋の山唄 発祥之地

あきのやまうたはっしょうのち

石巻線 涌谷駅から北東に7km。篦岳ののたけ山に箟峰寺こんぽうじがある。山頂の仁王門を通ると観音堂とその右に鐘堂と白山社があり,白山社の左側に「秋の山唄発祥之地」と刻まれた石碑が建っている。また涌谷駅の駅前広場には「民謡・秋の山唄発祥の地へ」という看板(広告塔)がある

「秋の山唄」は宮城県を代表する民謡の一つで,涌谷町が発祥の地といわれる。もとは「草刈り唄」と呼ばれる労働歌で,朝近くの山で草を刈り,それを馬の背に積んで運ぶ時に唄った唄。これを昭和17年ごろに民謡研究家の後藤桃水氏が編曲して「秋の山唄」と名づけ,東北地方のみならず広く全国で唄われるようになった。

奥州涌谷わくや箆岳ののだけさまは
山子やまご繁盛の 守り神

気になる気になる お山の狐
これほど待つのに なぜコンと鳴く

この歌詞にあるように,山で働く人々の繁栄を願って箆岳に捧げられた唄で,民謡にありがちの堅い内容ばかりではなく,のどかで素朴な内容で“コンと啼く”(来ぬと啼く) という洒落た歌詞もあって楽しい。

「秋の山唄」を正しく後世に継承するために,秋になると「秋の山唄全国大会」が開かれ,毎年全国各地から200名を超える参加者があって,優勝者は箟岳山の箟峯寺に奉納されるという。

写真

  • 秋の山唄発祥之地
  • 箟峰寺
  • 秋の山唄発祥之地 碑文

碑文

秋の山唄発祥之地碑

涌谷町長 大橋荘冶書

民謡「秋の山唄」は,奥州涌谷のこの地で生まれ,霊峰箟岳山を五穀豊穣の守り神とし て崇めた唄です。
 この唄は,元来,この地域の山林原野で唄われた労作唄であったものを,鳴瀬町出身,「故,後藤桃水先生」が,昭和七年頃現在の形に編曲され,以来,東北の民謡として定着し唄い継がれてきたものです。
 昭和二十七年(1952年),NHK「全国のど自慢大会」で優勝曲となったことで全国的に広まり,多くの人々に慕われ唄われてきたことから,昭和六十年(1985年)発祥の地である涌谷町を会場に「第一回秋の山唄全国大会」を開催,今年で十五回大会を迎えられることを記念し,ここに「秋の山唄」を正しく唄い継ぐため,「発祥の地」の碑を建立し,民謡を愛する多くの人々と共に末長く後世に伝えるものです。

平成十一年十一月十二日

涌谷町長 大橋荘治 撰文

地図

地図

遠田郡涌谷町箟岳 付近 [ストリートビュー]