浅草「酉の市」発祥の寺
あさくさとりのいちはっしょうのてら
地下鉄日比谷線 入谷駅から 北東に700m。国際通りに面して 鷲神社と長国寺が南北に並んでいる。長国寺の参道入り口に 『浅草「酉の市」発祥の寺』と書かれた銅板の碑が建っている。
「酉の市」は 関東に多い祭だが,名古屋や大阪にも酉の市を開催している寺や神社があるという。
春を待つ ことのはじめや 酉の市 (其角)
という句があるように, 酉の市は 毎年11月の酉の日に行われる。「福運を掻き込む」ということから 熊手の開運お守りなど 多くの縁起物が寺や神社の参道周辺の露店などで売られ 毎年大変賑わう。酉の日は12日ごとに巡ってくるので, 月に2度, 年によっては3度行われ,それぞれ“一の酉”~”三の酉”と呼ばれる。
浅草の「酉の市」といえば「鷲神社」を連想するが, 碑文にあるように 鷲神社はかつて長国寺と一体だったが, 明治維新後の神仏分離によって 寺と神社が分かれ,現在 酉の市は鷲神社と長国寺とで 同時期に一体となって行われている。
写真
碑文
浅草「
酉 の市 」発祥の寺「
酉 の寺 」・鷲在山 ・長国寺 と鷲妙見大菩薩 当山は江戸時代, 寛永7年(1680)に日純上人によって開山されました。山号を鷲在山, 寺号を長国寺と称し, 法華宗(本門流)の寺です。宗祖を日蓮大聖人として開運招福の守り本尊である鷲妙見大菩薩が安置されています。
開山当時より, 鷲妙見大菩薩の御開帳が11月酉の日に行われ, 多くの参詣者を集めて門前に市が立つようになりました。それが浅草「酉の市」の発祥です。
長国寺の門前市であった浅草「酉の市」は, 吉原などの隆盛とともに賑わいを増し, 市で売られる縁起熊手等も持て囃され, 江戸庶民にとっては年を迎えるための欠かせない行事となりました。鷲妙見大菩薩は七曜の冠を戴き宝剣をかざして鷲の背に立つお姿から, 「鷲大明神」「おとりさま」と呼び親しまれました。また「絵本江戸土産」では「破軍星(はぐんせい)」ともいわれ, 開運招福・商売繁昌・武運長久の御利益を授ける尊仏として厚い信仰を集めてきました。1年の無事に感謝と, 来る年の幸いを願う「酉の市」は江戸時代から続く伝統と文化を今も変わらずに受け継いでいます。
当山, 長国寺では明治初年の神仏分離令で「酉の寺」長国寺の一部が新たに鷲神社として分割されましたが, 現在も11月酉の日には多くの善男善女を集めて, 鷲妙見大菩薩の御開帳の法要を行い「酉の市」を開いております。合掌
浅草
田圃 「酉 の寺 」鷲在山 長国寺