えのきたけ 人工栽培 発祥の地
えのきだけはっしょうのち
長野電鉄 屋代線の松代駅から 北に1.4km。上信越道の長野I.C. 北東近くの 国道403号沿いに建つ JAグリーン長野・松代農業総合センターの前に, 「えのき茸発祥の地 松代」と書かれた看板が掲出されている。
えのき茸は 広く世界中にあり, 原産地として特定できる場所はないとされる。 したがって「えのき茸発祥の地」という表現はおかしい。 おそらく「えのき茸栽培発祥の地」と言いたかったのだろう。
現在市販されているえのき茸のほとんどは, 工場において人工的に栽培されている。えのき茸の人工栽培は, 京都の森下彦三郎氏が創始者で, これを長野県の屋代中学の長谷川五作教諭が教材として希望者に教えたことに始まり、昭和6年(1931) 頃に長野県松代町で生産が開始された。
天然のえのき茸は 晩秋から真冬にかけて エノキや柿の切り株などに生えるもので, これをビンの中で人工栽培することが 冬の農家の副業として広まった。戦時中には一時中止されていたが, 昭和28年(1953) に再開され, 1960年代には全国に広まった。現在では 冷房施設のある工場で生産することが一般的になり, 季節を問わず大量生産でき, 低価格で安定的に供給できるため 消費量も大きく拡大した。
余談だが, 天然のえのき茸は なめこのように茶色くてぬめりがある。スーパー等の店頭で目にする白いえのき茸は 光をさえぎられ低温室で人工栽培されているため, モヤシ状態で 白く細長いものになっている。
令和3年(2021)に寄ってみたところ、看板がJAの存在をアピールするものに新しくなっており、下端に「えのきたけ人工栽培発祥の地」と表記が改められていた。当サイトが強く詰め寄った事実は無いが、似たような感想を持った人々に指摘されていたのかもしれないし、他作物の栽培者からえのき茸ばかり優遇していると責められたのかもしれない。
いずれにせよ、ストリートビューによると平成27年(2015) 版では「えのき茸発祥の地」が掲げられているが、平成30年(2018) 版では「えのきたけ人工栽培発祥の地」に改められている。
屋代線は平成24年(2012) 4月に廃止となった。
写真
碑文
えのき茸発祥の地 松代
JAグリーン長野
JA長野県経済連
えのきたけ
人工栽培発祥の地農産物直売所
松代農業統合センターJAグリーン長野
JA全農長野