農業技術研究 発祥之地

のうぎょうぎじゅつけんきゅうはっしょうのち

北区滝野川に 財務省印刷局の工場と 滝野川消防署に挟まれて, 滝野川公園がある。本郷通りに面する入口は 間口があまり広くないが, 奥行は 400~500mもある 細長い公園である。

公園の中央付近に 滝野川公園管理事務所(北区西ケ原2-1-8)があり, その前に 下の写真の記念碑が建っている。

明治26年(1893) 、当時の東京府北豊島郡滝野川村大字西ケ原(現在の東京都北区西ケ原二丁目)に、日本初の国立農業試験場である「農事試験場」の本場が設立された。他には仙台、金沢、柏原、広島、徳島、熊本におかれた。それまで各地で個別に進められていた農業研究を国家規模で統合し、科学的な知見に基づいた農業の近代化を推し進めることが目的であった。初代場長には、農学者である澤野淳が就任した。

この農事試験場では、食糧生産の向上を目指し、稲や麦などの主要作物の品種改良、肥料の成分分析、病害虫の防除法といった多岐にわたる研究が行われた。ここで開発された技術や育成された優良な品種は全国へ普及し、日本の農業生産力の向上に決定的な役割を果たした。

その後、農事試験場は昭和25年(1950) に「農業技術研究所」へと改組され、昭和55年(1980) に筑波研究学園都市(茨城県つくば市)へ移転した。筑波移転は、主に広大な実験圃場や大型の実験設備、特殊な研究施設を必要とする農業技術研究所や畜産試験場などが対象であった。

なお同敷地の「農業綜合研究所」は、筑波移転後も西ケ原の地に残された。これは同研究所が農林業の経済動向や国家政策を対象とする機関であり、広大な実験圃場を必要としなかったためである。さらに、中央官庁や政治・経済の中枢が集まる霞が関などと日常的に緊密な連携を図り、迅速な情報収集を行うためには、東京の地に留まることが業務遂行上、極めて合理的であると判断された。平成13年(2001) に農林水産政策研究所に改組、平成20年(2008) に霞が関合同庁舎第4号館へ移転。

霞ヶ関移転後の西ケ原の農林水産政策研究所跡地は、西ケ原研修合同庁舎として建て替えられ、平成29年(2017) に竣工した。23区内に点在していた研修所を集約され、研修会場や各種試験会場として利用されている。

碑文によると, 農業技術研究所は 筑波学園都市に移転した となっているが, 現在 公園の東側に隣接して公園に食い込むような配置で「農水省農林水産政策研究所」がある。詳しい事情は知らないが, 何だか “研究所の筑波移転”というより 研究所組織が拡大したにすぎなかったのではないかと いうような印象を受ける。

写真

  • 農業技術研究発祥之地
  • 農業技術研究発祥之地
  • 農業技術研究発祥之地
  • 農業技術研究発祥之地
  • 農業技術研究発祥之地
  • 北区滝野川体育館から(2026)
  • 御殿前遺跡のモニュメント(2026)
  • 農業技術研究発祥之地(2026)
  • 農業技術研究発祥之地(2026)
  • 農業技術研究発祥之地 副碑(2026)
  • 農業技術研究発祥之地 副碑 背面2026)
  • 農業技術研究発祥之地 副碑 背面碑文(2026)
  • 農業技術研究発祥之地(2026)

碑文

農業技術研究
発祥之地

昭和五十五年

理学博士
盛永俊太郎 書

明治二十六年四月 農商務省農事試験場がこの地東京府北豊島郡瀧ノ川村西ヶ原に創設され 我が国の農業技術研究は発祥した
爾来八十七年 その間 昭和二十五年四月 農業技術研究所と改称される等組織機構の変遷はあったが 「西ヶ原」は常に近代能楽を遷堂し 我が国における農業関係試験研究機関の母体として 多くの輝かしい業績により農業の発展に寄与してきた
昭和五十五年一月 国立試験研究期間の筑波研究学園都市への移転に伴い この地での研究を終わる
「西ヶ原」の栄光の不滅を祈念しここに記念碑を 刻む

この記念碑は 農商務省農事試験場及び農林水産省農業技術研究所の職員並びに同研究所と深いかかわりのある農林水産省の関係部局 国公立試験研究機関 農業関係の諸団体等各界の有志約四百名が発起人となり 昭和五十八年三月に設立した「農業技術研究発祥之地」記念碑建立事業協賛会が 全国的に広く会員を募り基金拠出の御協力を仰ぐとともに 東京都北区当局の御協力を得て建立したものである
記念碑建立のための募金に協力し総額壱阡萬円に及ぶ寄金を拠出された協賛会々員壱阡五〇〇余名の名簿は 永久保存のため副碑内の収蔵室におさめた

昭和六十一年五月吉日

「農業技術研究発祥之地」
記念碑建立事業協賛会

碑石
筑波御影自然石
主碑約三十屯 副碑約十五屯
施工
茨城県筑波郡谷田部町
豊島造園土木有限会社

地図

地図

北区西ケ原2丁目 付近 [ストリートビュー]