自然保護憲章発祥の地
しぜんほごけんしょうはっしょうのち
伯備線
「自然保護憲章」は,自然保護の国民的指標として,わが国の全国的組織体(149団体)で組織する“自然保護憲章制定国民会議”が制定した全国民的な憲章。
1966(昭和41)年には,第8回国立公園大会が開催され,自然保護憲章の制定が決議され,これに基づいて 1974(昭和49)年に「自然保護憲章」が制定された。
自然保護憲章
自然は,人間をはじめとして生けとし生けるものの母胎であり,厳粛で微妙な法則を有しつつ調和をたもつものである。
人間は,日光,大気,水,大地,動植物などとともに自然を構成し,自然から恩恵とともに試練をも受け,それらを生かすことによって文明をきずき上げてきた。
しかるに,われわれは,いつの日からか,文明の向上を追うあまり,自然のとうとさを忘れ,自然のしくみの微妙さを軽んじ,自然は無尽蔵であるという錯覚から資源を浪費し,自然の調和をそこなってきた。
この傾向は近年とくに著しく,大気汚染,水の汚濁,みどりの消滅など,自然界における生物生存の諸条件は,いたるところで均衡が破られ,自然環境は急速に悪化するにいたった。
この状態がすみやかに改善されなければ,人間の精神は奥深いところまでむしばまれ,生命の存続さえ危ぶまれるにいたり,われわれの未来は重大な危機に直面するおそれがある。しかも,自然はひとたび破壊されると,復元には長い年月がかかり,あるいは全く復元できない場合さえある。
今こそ,自然の厳粛さに目ざめ,自然を征服するとか,自然は人間に従属するなどという思いあがりを捨て,自然をとうとび,自然の調和をそこなうことなく,節度ある利用につとめ,自然環境の保全に国民の総力を結集すべきである。
よってわれわれは,ここに自然保護憲章を定める。
- 自然をとうとび,自然を愛し,自然に親しもう。
- 自然に学び,自然の調和をそこなわないようにしよう。
- 美しい自然,大切な自然を永く子孫に伝えよう。
- 自然を大切にし,自然環境を保全することは,国,地方公共団体,法人,個人を問わず,最も重要なつとめである。
- すぐれた自然景観や学識的価値の高い自然は,全人類のため,適切な管理のもとに保護されるべきである。
- 開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも,自然環境の保全に優先するものではない。
- 自然保護についての教育は,幼いころからはじめ,家庭,学校,社会それぞれにおいて,自然についての認識と愛情の育成につとめ,自然保護の精神が身についた習性となるまで,徹底をはかるべきである。
- 自然を損傷したり,破壊した場合は,すべてすみやかに復元に努めるべきである。
- 身近なところから環境の浄化やみどりの造成につとめ,国土全域にわたって美しく明るい生活環境を創造すべきである。
- 各種の廃棄物の排出や薬物の使用などによって,自然を汚染し,破壊することは許されないことである。
- 野外にごみを捨てたり,自然物を傷つけたり,騒音を出したりすることは,厳に慎むべきである。
- 自然環境の保全にあたっては,地球的視野のもとに,積極的に国際協力を行うべきである。
昭和49年6月5日
自然保護憲章制定国民会議
写真
碑文
自然保護憲章発祥の地
自然をとうとび,自然を愛し,自然に親しもう。
自然に学び,自然の調和をそこなわないようにしよう。
美しい自然,大切な自然を永く子孫に伝えよう。
自然保護憲章制定の経緯
昭和四十一年八月 第八回国立公園大会で決議
昭和四十九年六月 自然保護憲章制定鳥取県知事 西尾邑次書
自然保護憲章制定二十周年事業建立 平成八年五月
石提供者 江府町
建立者 江府町 (財)国民休暇村協会 (財)国立公園協会 (財)自然公園美化管理財団 大山自然公園指導員の会