海ガメ 生態研究 発祥記念碑
うみがめせいたいけんきゅうはっしょうきねんひ
牟岐線 日和佐駅の南西1.5Km。美波町役場から徳島県道25号線で東に進むと日和佐うみがめ博物館カレッタ(美波町日和佐浦370-4)がある。博物館入口横に「海ガメ生態研究発祥記念碑」という黒い石碑と「日和佐海亀国際会議'88記念碑」が並んで建っている。
ウミガメは肺呼吸をする爬虫類で、生涯を海中で過ごすが、唯一 産卵時にはメスが砂上陸して砂の中に産卵する。
徳島県美波町の“大浜海岸”は“ウミガメの産卵地”としても有名で、特に2009~2010年のNHKの朝ドラ「ウエルかめ」で、ここ日和佐のウミガメが取り上げられたことで知られるようになった。
毎年5月から8月にかけてアカウミガメが産卵の為に上陸する。しかしウミガメの上陸数は年々減少しており.かつては毎年100頭以上あったものが、最近はわずか数頭からせいぜい30頭程度までに減っている。
日本ではウミガメは“浦島太郎”に見られるように、古くから馴染みのある生物として知られており、かつて地方によっては食用として捕獲されていた。日和佐ではウミガメを神の使いとして大事にする習慣があったが、戦後の食糧難の時代に食用に乱獲されるようになった。
この状況に心を痛めた地元の中学生たちが昭和25年(1950) 頃からウミガメの研究に乗り出し、上陸頭数の調査・卵の人工孵化などの活動を始めた。この上陸頭数調査は世界的に最も古い記録であり、またこの年に孵化させた1頭は現在も博物館で飼育されており 60歳を超えている。年齢が分かっているウミガメとしては世界最高齢である。
この活動がもとになって、昭和35年(1960) に大浜海岸のウミガメが県の天然記念物に指定され、日和佐には”町立水族館”が完成して中学生の研究活動 はここに引き継がれた。さらに昭和42年(1967) には 国の天然記念物に指定され、ウミガメの保護規制が開始された。1988(昭和63)年には“日和佐海亀国際会議'88”が開催され“日和佐宣言”が採択された。
現在ウミガメは絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約によって国際取引も禁止されている。
【リンク】日和佐うみがめ博物館カレッタ
写真
碑文
海ガメ生態研究発祥記念碑
一九五〇年六月この大浜海岸に産卵のために上陸した海ガメが肉をとられ 無残にも殺されているのを日和佐中学校の生徒が見つけた
日和佐中学校科学部の生徒達はこのようなむごい事をする人が二度と出ないことを願って海ガメの生態研究に取り組んだ
この研究は十年あまり続けられ その成果は「日本学生科学作品展学校賞」を受賞し海ガメ博物館設立の基礎となり また「大浜海岸のアカウミガメおよびその産卵地」が国指定文化財天然記念物になることにつながった
この研究は各方面から高く評価され 日本はもとより世界でも最初の研究であると称賛された
この大浜海岸がいつまでも海ガメのよき産卵場であるよう保全されることを期待する
二〇〇八年七月吉日
日本海ガメ協議会
会長 亀崎直樹
日和佐海亀国際会議'88記念碑
INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON SEA TURTLES IN HIWASA '88日和佐宣言
海ガメは大型の海洋動物で 今日 私達とこの地球上に同じいのちを賛歌しています しかし 現在海ガメはその種を問わず 人類の過大な干渉によって 世 界の海洋から確実にその数が減少しています この人類共通の財産である海ガメ類を私たちの世代で絶滅に追い込むことは許されません 海ガメには国境も県境 も市長村の境もわかりません 広大な海洋をすみ家とし大規模な遊泳 回遊をする海ガメの保護を県とか市町村とかの小さな地域だけで行うことのむなしさを 私達はこの会議で 多くの世界の事例から学びましたよって 今日我国で見える海ガメ類の地域的な保護の枠を超える広範な保護の視座が強く望まれることろです 特にアカウミガメは 種指定の天然記念物として保護されるべきものです
私達は また地球住民として 海ガメ類の保護のー為 陸上及び海洋環境の保全と国を超えた国際間の強い協力が更に必要である事を痛感しここに宣言します昭和六十三年八月一日
日和佐町長 喜田 寛
開催年月日 一九八八年七月三十日~八月一日
場所 徳島県海部郡日和佐町
参加国 アメリカ合衆国 インドネシア共和国
オーストラリア連邦 中華人民共和国
西サモア諸島 日本
マレーシア連邦 メキシコ合衆国