とうじそば 発祥の地①
とうじそばはっしょうのち
中央本線 松本駅から南西に 国道158号〜県道26号 野麦街道を経て約30km。新野麦街道分岐点近くの道路脇に「とうじそば発祥の地」と書かれた,真新しい駒札風の木碑(標識)が建っている。同様の手書き木標は、旧村域に全部で3つあり、村域市街地の南北の入口付近と野麦峠への分岐付近にある。この札は平成24年(2012) 夏以降に設置されたものとみられる。
松本市の奈川地区は,女工哀史の小説『あゝ野麦峠』で有名な,飛騨地方から野麦峠を越えて松本の城下町に至る“野麦街道”の谷合いに点在する集落。標高の高い山間地で平地が少ないため,稲作ができず そばや豆などを作り,昭和初期までは“そばがき”や“そば餅”が主食であった。その中で特に工夫されたのが,寒い時期にも鉄鍋で温めて食する「とうじそば」である。
「とうじそば」とは,竹で編んだ大きなスプーン状の“とうじ籠”にそばを入れ,山菜・きのこ・鶏肉などを入れた熱い鉄鍋に籠ごと浸して 温めて食べる“そばのしゃぶしゃぶ”のようなもので,奈川地区では古くから祝いの席で振舞われてきた。
ちなみに「とうじそば」という呼び名は,そばを汁につけることを「
なお,これと同じ形の発祥の地碑が,県道26号の北と南を含めて 奈川地区の入口に当たる3箇所ほど建てられており,「とうじそば」を地域の町おこしの材料にしようとする観光協会の熱意が感じられる。
当地はもとは奈川村だった地域で、平成17年(2005)に松本市に編入された。
写真
碑文
とうじそば発祥の地
ながわ観光協会