始めてアーク灯をつけ不夜城を現出
はじめてあーくとうをつけふやじょうをげんしゅつ
東京銀座通りに面した、カルティエブティックの路面店が目立つ大倉本館(中央区銀座2丁目6-12)の南隅の壁にプレートが埋め込まれている。この建物は平成28年(2016) に建て替わった姿で、以前からカルティエブティックだった。建て替え前はどこかに掲示されていたかいなかったかよくわからない。
大倉財閥創業者 大倉喜八郎は、当時まだ日本に馴染みの薄かった電気事業の将来性に着目。日本にまだ電灯が普及していなかった明治15年(1882) 11月、電灯の有用性を示すため、ドイツから輸入した可搬式の発電機を大倉財閥の本拠地である大倉組商会(現 大倉本館)に設置し、その電力を使ってアーク灯1基を点灯させた。
当時はまだガス灯の時代。銀座通りには85基のガス灯が設置されていたが、アーク灯はそのガス灯1基の50倍の明るさで、アーク灯の明るさは2000cdだったという(ろうそくの灯が1cd)。
アーク灯の成功を受け、大倉喜八郎は電気事業のさらなる発展を見据え、明治16年(1883) 2月には東京電燈会社の設立発起人となり、同社の設立が許可された。銀座通りへのアーク灯の点灯は、単なる照明の設置にとどまらず、日本の電気事業の黎明期における画期的な出来事であり、銀座の近代化を象徴する出来事として歴史に刻まれた。
この交差点近くには、アーク灯のレプリカが建てられている。もちろんアーク灯ではなく、8000lmのLED灯となったが、銀座の街を照らしている。
- マスプロ美術館
https://www.maspro.co.jp/museum/collection/204/ - 大成建設
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2016/160928_3841.html
写真
碑文
東京銀座通電氣燈建設之圖
明治15年11月こゝに始めてアーク灯をつけ不夜城を現出した 当時の錦絵を彫刻してその記念とする
昭和31年10月1日
銀座通聯合会 照明学会 𬮦東電氣𫝓会 東京電力株式会社
原文まま