駅そば 発祥の地
えきそばはっしょうのち
しなの鉄道 軽井沢駅構内に「おぎのや」売店がある。そば・うどんや釜めしを供するこの店先に「駅そば発祥の地」の看板が掲げられている。
“駅そば”とは、鉄道の駅構内で日本そばを提供する飲食店、あるいはそこで提供される“そば”を指しており、長距離列車の停車時間や乗り継ぎの待ち時間を利用して提供されるようになったのが最初。都会の駅で通勤・通学客が簡単に朝食(昼食・夜食)を済ませる立ち食い形式主体の駅そば店が現れたのは比較的最近のことである。
かつての信越線では、碓氷峠の急勾配を普通の機関車で引き上げることが困難だったため、機関車の動輪と共に回る歯車が鋸歯状のレール(ラックレール)の上を回って列車を引き上げるアプト式を採用していたた。このため峠下の横川駅と上の軽井沢駅で必ず専用の機関車を接続を行うため、列車は両駅で相当の時間を待たされた。
その待ち時間に目をつけて始められたのが「駅そば」だった。その年月についての記録はないが、明治30年代に乗客が急増したことを受けて軽井沢駅で始まったとされる(鈴木弘毅著「駅そば読本」による)。
同様に列車の待ち時間を利用して、一方の横川駅で“峠の釜めし”というユニークな駅弁を発売したのが“おぎのや”で明治18年(1885) のことであった。しかしおぎのやのホームページによると、おぎのや軽井沢店が開業したのは昭和55年(1980) になってからで、この店が駅そば発祥の店というわけではなく、軽井沢駅から始まったことを指していると言える。
いつの間にか店舗デザインが変わり、発祥の表示は取り外された。また、「おぎのや」の看板ではなく「しなの屋」となっている。店内の小振りな額に納まっているとも聞くが、それはコレクション外かも (2020)
駅南北を結ぶ通路にあるしなのそば店内に表示があった。なお、しなの鉄道方面から入る店内にはとくに表示はないようだ
写真
碑文
駅そば発祥の地
軽井沢駅