源泉水道 発祥の地
げんせんすいどうはっしょうのち
武蔵野線 新座駅の南方、志木街道沿いにある若宮八幡神社(新座市野火止3丁目13)境内南の藤棚の下に碑が設置されている。
この「源泉水道」とは、現代のような公共水道が整備される以前、地域住民が共同で利用していた井戸や簡易水道施設を指すと考えられる。菅澤(現在の新座市菅沢)地区において、住民が協力して地下水などの水源を活用し、生活用水として分配する仕組みがあった。このような仕組みは、井戸から水をくみ上げ、簡易なパイプや樋を通じて各家庭へ供給するという原始的な構造であったが、当時の地域生活を支える重要なインフラであった。
記念碑に記された「菅西水道利用組合」は、こうした水道の管理・維持を目的に組織された団体であり、その第二次加入者の名を碑に刻むことで、当時の関係者への敬意と記録を残している。また、「移設発起人」という表記から、昭和46年(1971) 当時にこの歴史的遺構を保存すべく、地域有志が中心となって記念碑の建立を実現させた経緯がうかがえる。
この記念碑は、単なる石碑ではなく、新座市の地域社会における生活基盤の発展と、自助によるインフラ整備の歴史を今に伝える役割を果たしている。現在のような上水道が整備される以前、住民自身の手で水源を開発し、水を供給し合っていたという歴史的事実は、現代においても持続可能な社会づくりや地域協力の重要性を示唆するものといえる。
写真
碑文
源泉水道発祥の地
菅澤二七五の三番地粕壁殿宅地内より移す
昭和四十六年二月吉日建之
菅西水道利用組合第二次加入者氏名
(芳名略)
移設發起人
(芳名略)