獣医学 実地教育 創始 記念碑
じゅういがくじっちきょういくそうしきねんひ
成田線 成田駅・京成本線 京成成田駅から南東におよそ8km、芝山鉄道 芝山千代田駅から空港南端を回り込んで5.5km、成田空港の西側, 空港境界より西に500m。千葉県道62号 三里塚街道に面した“三里塚記念公園”の奥まった場所に“三里塚御料牧場記念館”がある。記念館の前にいくつかの石碑が建っていて, その一つが「獣医学実地教育創始記念碑」。
この地は 明治初期に 時の内務卿 大久保利通によって「取香種蓄場」(後に「宮内庁下総御料牧場」) として開設された。 広大な面積の牧場で,皇室用の乗用の馬・車を引く馬の飼育, 各種家畜・家禽の飼養を行うほか, 外国人技師を招聘し 日本の牧畜技術の最先端を担った。大正〜昭和にかけて 徐々に規模が縮小していったが, 昭和44年(1969) に成田空港の建設にともなって牧場は栃木県に移転し、100年余りの歴史を閉じた。跡地の一部(面積 30,000㎡)に“三里塚記念公園”が開設され, 御料牧場の歴史を展示公開する“三里塚御料牧場記念館”が建てられている。
我が国における近代的な獣医学教育は明治9年(1876) に 内藤新宿試験場(現在の新宿御苑の敷地)に “農事修学場”が設置され, ここで 農学・獣医学・農芸化学などの教育が行われたことに始まる。 この組織は 後に 駒場農学校となり, 現在の東大農学部に引き継がれている。明治13年(1880) 下総御料牧場内に“変則獣医学科”が開設され 農学校の獣医の実習もここで行われるなど, 日本の獣医学の基盤がここで築かれた。
「獣医学実地教育創始記念碑」は昭和14年(1939) に有志によって建てられた。
写真
碑文
獣医学実地教育創始記念碑
本邦獣医学ノ実地教育ハ明治十一年下総牧場ノ前身取香種畜場ニ獣医科ヲ置キ国内ヨリ募集セル牧羊生ヲ実地教育シタルニ起因ス
当時米人ジョンス同ドクトルレーサム英人ケェー氏等相次デ之ニ衝リ同十三年 変則獣医科ト改メ場長岩山敬義初代校長トナリ桑島景連 今泉六郎 玉川勝蔵 三浦清吉 新山荘輔氏等当時ノ教職ニ任ゼラレタルニ始マルモノトス昭和十四年四月 創始六十年記念建設 同学有志者