宮水 発祥之地
みやみずはっしょうのち
阪神電鉄 西宮駅から南方。阪神高速道路神戸線の南のタクシー会社の駐車場の西側の少し離れたところに 発祥碑が建つ。
この地域は 酒造会社と民家が混在する市街地で, 宮水をくみ出す井戸(井戸場)が散在する。
江戸時代末期 天保年間に, 魚崎(神戸市東灘区)と西宮で酒造を行っていた山邑太左衛門が, 同じ材料・方法で作る酒でも 常に西宮の蔵の酒が優れていたことから, 試みに西宮の蔵で使っている水を魚崎に運んで仕込み水に用いたところ, 西宮で造る酒と 同じものを得ることができた。これが宮水の誕生で, 最初は“西宮の水”と呼ばれていたが, 後に「宮水」と呼ばれるようになった。その時の井戸 “梅の木井戸” は 今も発祥碑の近くにある。
宮水は西宮市でも 海岸から1kmぐらいのところにある3~5mぐらいの浅井戸から湧きだす六甲山系の伏流水で, 発祥碑のある場所の周辺, およそ500m四方の狭い地域の井戸からしか得られない。リンやカルシウム・カリウムなどのミネラル分を多く含む硬水で, 飲用にはあまり向かないが, 酒造りにおいてはミネラルが酵母の栄養分となり酵素の作用を促すので酒造りに適していると言われる。
写真
碑文
宮水発祥之地
宮水・酒蔵地帯
Miyamizu & Sake Brewing Area「百の蔵から歌声もれる いつものどかな酒の町」
戦前の西宮音頭は酒の町西宮をこんな風に歌いました。
今次の大戦で酒蔵の大半が焼失、さらに技術革新が酒造 りを大きく変え、鉄筋コンクリートの酒蔵の出現で酒の 町の風情も変わりました。しかし、灘の名酒のいのちとも いえる宮水は変わることなく宮水地帯に湧き、それぞれ の井戸場から汲み出されて灘の酒蔵に送られます。この 宮水は先年環境庁選定の日本名水百選に選ばれました。