最初之発見 大森貝墟

さいしょのはっけんおおもりかいきょ

京浜東北線 大森駅から北に約200m。大きなビルと京浜線線路の間の狭い場所に、大森貝塚の碑がある。

モース博士は明治10年に横浜から新橋に向かう列車の途中で貝塚を見かけたことがきっかけだったのですが、それが大森駅近くだったためにそこが大森村と思い込み「大森貝塚」と呼ばれるようになりました。しかし、実際にはこの碑がある東京都大田区山王ではなく、当時の大井村、つまり現在の東京都品川区大井6丁目付近であるとするのが定説。

そして大田区山王1丁目3番地のこの碑がある場所は調査の結果とくに貝塚は発見されなかったとのこと。


平成25年(2013) 頃に南隣の建物が改築され、翌年から歩道に面して碑の1/2レプリカが設置されている。記念碑は企業敷地内にあって照明は無く時刻で制限されているが、こちらはとくに制約なくいつでも観察できる。

【関連】

【リンク】大田区

写真

  • 我国最初之発見 大森貝墟
  • 我国最初之発見 大森貝墟 英字部
  • 大森貝塚見学入口
  • レプリカ説明(2022)
  • 最初之発見 大森貝墟 1/2レプリカ(2022)
  • 大森貝塚入口(2022)
  • モース博士と大森貝塚 説明(2022)
  • 20220930165800.jpg
  • 最初之発見 大森貝墟(2022)
  • 最初之発見 大森貝墟 碑陰(2022)
  • 大森貝塚入口道標(2022)
  • モースゆかりの地 碑(2022)
  • 入口近くには案内が出ている

碑文

我國最初之發見

大森貝墟

理學博士 佐々木忠次郎 書


Place of Omori Shell Mound
Discovered
by
Professor Edw.S.Morse
in
1877


発起人

(芳名略)


明治十年モールス先生の発見に係り門下生理学博士佐々木忠次郎故松浦佐用彦両氏と共に発掘研究せし顕著なる遺跡也

昭和五年三月建之

モース博士と大森貝塚

アメリカのエドワード・シルヴェスター・モース博士は、明治10年(1877) 6月横浜から新橋へ向う車窓で、大森貝塚を発見しました。そこで土器、石器、人骨など多数の資料を発掘し、その精華を『SHELL MOUNDS OF OMORI』として刊行しました。この発掘が日本の考古学、人類学などの発展に大きく貢献すると共に日本の先史文化を海外にも広めました。
モース博士は東京大学の動物学の教授となり、進化論を最初に紹介したり、国内を広く旅行して多くの人々と交流を深め、日本陶器や風俗を研究して、日本文化を海外に紹介し、日米文化交流の上に偉大な功績をのこしました。また独立心と独創性をもち、たえず社会のために民主的な行動をとり、豊かな人間性をもった人物として尊敬されています。
このたび大森貝塚発掘100年を記念し、偉大な学者の功績をたたえるとともに大森貝塚の重要性を永遠に伝えます。

1977年10月
東京都大森貝塚保存会
日本電信電話公社

《大森貝墟》碑の由来

大正一四年一二月、大森貝塚を発掘し、江戸・明治期の文化を海外に紹介したエドワード・シルベスター・モース博士の訃報(ふほう)が伝わると、ただちに博士と関係のあった石川千代松・岩田友太郎・臼井米二郎・佐々木忠次郎・松村瞭・宮岡恒次郎の六名が発起人となり、大森貝塚の顕彰(けんしょう)とモース博士の偉大なる功績(こうせき)を後世に伝えるため、調査場所に記念碑をたてることにした。その場所は、発掘に参加した佐々木忠次郎の日誌と記憶、ならびに当時の地形、立木、村道の位置、大森駅との距離などにより、小林脳行店主の臼井米二郎の所有地(東京府荏原郡入新井町字新井宿山王下二五五番地 現在の大田区山王一丁目三番一号)とされた。
二一名の研究者らが発起人となり建碑を呼びかけたが、昭和二年にアメリカで起きた世界恐慌(きょうこう)が日本にも及び、献金は集まらず、臼井米二郎が土地と資金を提供し、《大森貝墟》碑が完成したと、佐々木忠次郎は語っている。
除幕式は、昭和五年四月一三日におこなわれた。碑の材料は仙台石で、高さ六尺、幅三尺、これに二段の台石を据(す)え、碑の表面には碑名、英文記事、発起人の氏名を刻(きざ)み、裏面にはモース博士の貝塚発見の由来を彫(ほ)った。
昭和三〇年三月二四日、《大森貝墟》碑は品川区の大森貝塚遺跡庭園内にある《大森貝塚》碑とともに国の史跡に指定された。
史跡《大森貝墟》碑は、日本の歴史に輝きをあたえた大森貝塚とその発掘者モース博士をたたえるとともに、師を敬愛する明治期の人々の意気が感じられる。私たちはこの碑を国の文化財の象徴として、末永く保存管理する使命をもっている。

東京都大森貝塚保存会
会長    関 俊彦

地図

地図

山王1丁目 付近 [ストリートビュー]