十一面 観世音菩薩 発祥之碑

じゅういちめんかんぜおんぼさつはっしょうのひ

近鉄志摩線の松尾駅から南東に8Km。的矢湾と千鳥ヶ浜海水浴場の中間に、“鯨崎”と呼ばれる長さ500mほどの小さな半島が太平洋に突き出している。岬の先端まで遊歩道が整備されていて、その入口に「十一面観音発祥」の碑が建っている。

鯨崎から西に10kmほど離れた標高336mの青峰山の頂上付近に青峯山正福寺がある。高野山真言宗の寺で、古くから志摩地方の漁民の信仰を集め、海上交通守護に霊験があるといわれる。この寺の本尊である“黄金の十一面観音”に関して次のような言い伝えがある。

西暦736(天平8)年、身の丈1寸8分(5.5cm)の黄金の観音像が鯨の背に乗って鯨崎の海岸に現われ、これを武将・青山半兵衛が拾い上げた。志摩で一番高い山に祀るようにとの夢のお告げにより、青峰山正福寺に安置された。

なお「十一面観世音菩薩」とは観音菩薩の化身の一つで、本体の顔以外に頭上に11の顔を持つ菩薩像である。奈良時代にもたらされた十一面観音であるという理由から「発祥」とされたのであろうが、残念ながらこれは伝説にすぎず、公式に認められているわけではない。正福寺の本尊も文化財などに指定されてはいない。

写真

  • 十一面観世音菩薩発祥之碑
  • 十一面観世音菩薩発祥之碑 碑陰

碑文

天朗峯
青峯山

十一面観世音菩薩発祥之碑

三重県知事 田川亮三 書

碑の背面には“観音像が鯨に乗って現れた”という 上記の伝説が刻まれているが, 写真が不鮮明で碑文が読み取れないので省略。

地図

地図

鳥羽市相差町 付近