日本最初の 気候測量所跡
にっぽんさいしょのきこうそくりょうじょあと
函館市電の十字街停留所から北に400m。 函館港の西波止場近くに“赤レンガ倉庫群”がある。その中で最大の建物“金森洋物館”の 北東角の壁面に,「函館港と倉庫群・日本最初の気候測量所跡」と書かれた説明板が掲示されている。
箱館 (明治2年以後は“函館”となった) の港は“安政の開国”によって 新潟・横浜・神戸・長崎 の各港とともに開港され,外国船の入港,外国人の居留が増加し,これら外国人たちは 自身の必要性から少しずつ気象観測を実施していた。有名な「ブラキストンライン」を発見したイギリス人 トーマス・ブラキストンは,1868(慶応4)年から 気圧・気温の観測も行った。
開拓使函館支庁の福士成豊は プラキストンの観測機器を譲り受けて自宅に設置し「函館気候測量所」として 1872(明治5)年より ブラキストンの観測を引き継く形で測候を始めた。これが我が国の気象観測所における気象観測の始まりで,この地は「日本で最初の気象台」ともいうべき場所である。その後 「函館気候測量所」は「函館測候所」の名称を経て, 1942(昭和17)年に「函館海洋気象台」と改称され現在に至っている。現在地はこの地より北に7kmの函館市美原3丁目。
ちなみに,日本における気象観測の開始年代は 次のような順番である。
- 函館 1872(明治5)年
- 東京 1875(明治8)年
- 札幌 1876(明治9)年
- 長崎 1878(明治11)年
- 広島 1879(明治12)年
写真
碑文
日本最初の気候測量所跡
この辺りは,新島譲の海外渡航を助けた福士成豊(日本で最初に西洋型の船を造った続豊治の次男)が 明治5年(1872年)プラキストンの機械を譲り受け,日本で最初の気象観測をする「函館気候測量所」を 開設したところである。