ル レクチエ 発祥の地
るれくちえはっしょうのち
信越本線 田上駅から西に8km。市立月潟小学校の東,中ノ口川と国道8号の間に広がる梨園の中に 茶色の自然石で造られた発祥碑が, その前に 黒い小型の副碑が建っている。
「ル レクチエ」は西洋梨の一種。西洋梨の品種は数千種あるといわれるが,日本で栽培されているのは20品種程度。その中で 60%以上が“ラ・フランス”。次に“バートレット”と“ル レクチエ”がそれぞれ 6~7%のシェアで続いている。文字通りヨーロッパの原産で,日本には 明治初期に導入されたが,気候が西洋梨の栽培に適さないため あまり普及せず,缶詰として少ない量が流通していたにすぎず,生食用として出荷量が増えたのは 昭和30年代以降のことである。
現在は 秋田県をはじめ 東北・長野・新潟などで 年間3~4万トン出荷されているが, これは普通のナシ(和梨)の 100分の一ほどの少ない量である。
ル レクチエは,明治36年(1903) に茨曽根村(当時)の小池左右吉氏が,原産地フランスから苗木を輸入して 栽培を始めたのが発祥とされる。以来100年余り経った現在,信濃川流域を中心にル レクチェが栽培され, 新潟県が圧倒的なシェアを有する。
平成5年(1993) に小池氏の業績をたたえて この発祥碑が建立された。
碑の近くには,小池氏が取り寄せた苗木から育った 樹齢100年とされる古木が, 今も元気に実をつけている。古木の脇には説明板が設置されている。
主産地である新潟県において「ル レクチエ」という名称で統一することが決められているが、「ル・レクチェ」などと小さい「ェ」や中黒区切りの表記もしばしば見られ、ゆらぎの大きい日本語におけるブランディングの難しさを感じる呼称である。
写真
碑文
日本における西洋なし
ル レクチエ発祥の地新潟県果樹振興協会会長
衆議院議員 小沢辰男 書
実施主体
日本における西洋なし
ル レクチエ発祥の顕彰
及び古木保存の会
実施主体代表
新潟県果樹振興協会
白根市寄贈
新潟県 新潟県経済連
新潟県農業共済連 関係市町村
関係農業協同組合 関係生産者団体
関係有志平成五年十二月 建之
西洋なし ル レクチエ古木
所有者/小池美與志氏
明治35年,当時の中蒲原郡茨曽根村で農業を営んでいた故小池左右吉氏は,ウラジオストクを訪れ,そこで高値で取引きされる西洋なしに注目,そして明治30年代後半頃に原産地フランスから数品種の苗木を直輸入,栽培に取り組み,わが国で初めて果実を実らせました。
その中にあった一品種「ル レクチエ」。極めて美味ながら,栽培技術の難しさから幻の西洋なしとしてごく一部にしか知られていませんでしたが,近年,栽培技術の向上により,新潟県の特産果樹として各方面から高い評価を得るようになり,年々生産量も増えています。