民謡「おばば」発祥の地
みんようおばばはっしょうのち
養老鉄道の終点
「おばば」は岐阜県の民謡であるが,岐阜県内のみならず 鹿児島・愛知・茨城・和歌山・島根・青森など,全国各地で唄われていた。いずれも「おばば」と呼ばれたが,歌詞やはやし言葉はいろいろな変化がある。
このように各地に広まった理由は,旅人が伝えた外に,揖斐川・長良川・木曽川の洪水対策として宝暦の治水工事などの大規模な治水工事が行われて,全国から“手伝普請”として人夫が動員されたため,彼等が「おばば」を故郷に持ち帰ってはやらせたという背景があったと言われる。しかし このように地方に伝播した「おばば」は,近年 若者の民謡離れや 飲酒の習慣の変化により酒席がなくなったことなどを背景に,ほとんど耳にすることはなくなっている。
岐阜県内では,祭礼の時に唄われるのをはじめとして,婚礼・出産・家の新築などすべての祝いごとの歌として,また酒席でも唄われている。特に揖斐川町では,下記の「“おばば”の由来」にあるように,当地が「おばば」の発祥の地であることを後世に大切に伝承していこうという気運が強く,小学校での教育も行われ,現在でも各種の行事で盛んに唄われている。
写真
碑文
民謡「おばば」発祥の地
お婆々
一、お婆々どこへ行きゃるナーナーナー
お婆々どこへ行きゃるナ
三升樽さげてソーラバエ
ヒュルヒュルヒュードンドン
二、嫁の在所へナーナーナー
嫁の在所へナ
ささ孫抱きにソーラバエ
ヒュルヒュルヒュードンドン“おばば”の由来
お婆々の唄は,天正の頃揖斐城主堀池備中守の姉が善明寺春淨の許へ嫁ぎ,めでたく初男子を出産したそのお祝いとして,祝酒と笛太鼓を持って老母が嫁の在所へねぎらいに行ったことから,この唄が生まれた。・・・・・・という説が残っている。
そして,この唄は,祭りの時のみならず地域一帯に昔から伊勢参りの出迎え,家,倉などの新築祝,嫁とり,婿とりの祝宴,またはイモチ送りの行列等に,景気を引きたてて唄われてきた唄である。