のれん街 発祥の地
のれんがいはっしょうのち
山手線・埼京線・東急 東横線・東急 田園都市線・京王 井の頭線・地下鉄 銀座線・地下鉄半蔵門線の駅 および 東急百貨店が同居する 渋谷駅。 その東急百貨店の東館の1階に 老舗の食品店街「東急のれん街」がある。のれん街の東入口, “銀のぶどう”の店舗横の壁面に 金色の「発祥の地」プレートが 貼り付けられている。
「のれん街」という単語は, 国語辞典にも載っていない 一種の造語で, 食品を中心とした老舗を集めた名店街を指すものらしい。
渋谷駅は, 中央に山手線と埼京線,その両側に東急東横店の建物が建ち,これらと直交する形で 地下鉄銀座線が高架で乗入れ,山手線の東側には東急 東横線,西側には京王 井の頭線,さらに 地下では 地下鉄半蔵門線と 東急 田園都市線が直結しているという, 極めて複雑な構造になっている。
そのため 東急 東横店の構造も複雑で, 特に 東館は 渋谷川を暗渠とした上に 建っており, 地下階がない という デパートとしては特異な構造となっている。 「東横のれん街」は その東館の1階の半分を占めている。
東急東横店の前身、東横百貨店の建物が完成したのは昭和9年(1934)。昭和26年(1951) に東横店のスペースの一部で 15の老舗食品店が参加して 日本初の名店街としてスタートし, その後各地に同様の「のれん街」が出現していった。
平成20年(2008) に明治通り地下に地下鉄副都心線が開通。同年、銀座線 渋谷駅は明治通りを跨ぐことなくヒカリエ横に移転。平成25年(2013) には東急東横線が副都心線に乗り入れ開始し、昭和2年(1927) の開業以来何度もの改良を経てずっと山手線と渋谷川の間の狭い高架上にあった東横線の渋谷駅は撤去された。同時に渋谷川の暗渠の上に立てられた東急東横店東館も解体され、東横のれん街は渋谷マークシティ イーストモール地下に移転した。
新棟開業の折に、東館だったどこかに掲示されるものと思われるが、その計画については今のところとくにアナウンスが見当たらない。
写真
碑文
のれん街発祥の地
平和の訪れと共に 伝統への憧れが人々の心によみがえりきたることに応えのれんの味を守り続けきしもの相集い東横百貨店の理解と協力のもと 昭和二十六年十月二十七日 この地に「東横のれん街」を開店せり
世界に比類なき この老舗食品専門店集団による商法は 忽ち日本国中に大きな反響を呼び 同様のもの各地に続出
将に 戦後の商業史上に一大紙面を画するものとなる
依って茲に「東横のれん街」誕生五十年に当たり碑を設けこの地を「のれん街発祥の地」と明記するものなり平成十三年十月二十七日
東横のれん街 第五代会長
細田安兵衛 記