ステンレス 車両 発祥の地

すてんれすしゃりょうはっしょうのち

京浜急行金沢八景駅から500m北に、東急車輛㈱横浜製作所がある。正門を入ってすぐ左手に“横浜製作所歴史記念館”という建物があり、それに並んで元東急電鉄のデハ5201号とデハ7052号の2輌の電車が陳列されており、デハ5201の先頭部分に「ステンレス車両発祥の地」と書かれたステンレスでできた記念碑が建っている。

「ステンレス車両」とは、車両の構造体・外板・台枠にステンレス鋼を採用した鉄道車両で、1930年代以後現在まで製造されており、国内の鉄道車両のほとんどはステンレス車両またはアルミ車両となっている。

20世紀の初期に発明されたステンレス鋼は軽量で錆びにくいという特性がある反面、硬度が高いため曲げ加工が難しくまた高価であるため、ごく一部の小型部品に使用されるだけであった。アメリカのバッド社は1930年代に鉄道車両の車体にステンレスを使用する技術を開発し、これによって車体の耐久力が高く軽量化・無塗装化を実現。世界的に客車のステンレス化が進んだ。

日本では昭和33年(1958) に、骨組みや台枠を普通鋼で構成し、外板のみをステンレスとするセミステンレス車両が製造されはじめた。その後東急車輌はバッド社から技術導入して、内部の骨組みを含めてほぼ全ての部材をステンレス化したオールステンレス車両を開発、昭和37年(1962) より実用車両の製造を開始し、現在は鉄道各社に広く採用されている。

一方、ステンレス車両とほぼ同時期から、車体にアルミ合金を使用したアルミ車両が開発され各社で使用されている。アルミ車両は、ステンレスと同等程度の耐食性を有するほか、ステンレスより軽量であり成形が容易であるため.複雑な形状の車体が製造できるなどの利点がある。しかしステンレスよりもコストが高いという欠点があり、このため流線型の車体を要求する新幹線や、高速運行を追求する関西や一部関東私鉄ではアルミ車体を多く採用し、輸送力重視の関東はステンレス車体が多いという。

平素は立入も撮影も禁止されている東急車輛横浜製作所(当時)だが、平成24年(2012)2月25日『オールステンレス車両完成50周年記念』として、構内に保存してあるデハ5201・デハ7052の公開等が行われ、沢山のファンが足を運んだ。


東急車輛製造は新東急車輛を経て平成24年(2012) にJR東日本に譲渡され子会社化、総合車両製作所となった他、鉄道車両部門以外の事業も各社に譲渡され東急グループから去った。

写真

  • 東急車輛製造 正門
  • ステンレス車両発祥の地
  • 東急車輛産業遺産第2号 説明板
  • 初のオールステンレス車デハ7052電車
  • ステンレス車両発祥の地
  • ステンレス車両発祥の地のデハ5201電車
  • ステンレス車両発祥の地 碑陰
  • ステンレス車両発祥の地 碑陰
  • ステンレス車両発祥の地
  • ステンレス車両発祥の地 英文面

碑文

ステンレス車両発祥の地

The birthplace of Stainless Steel Railcars in Japan

オールステンレス車両製造50周年記念
2012年建立 東急車輛製造株式会社

東急車輛産業遺産第1号

東京急行電鉄デハ5201号車
   日本初のステンレス電車

 本車両は1958年(昭和33年)、日本初のステンレス電車としてこの横浜製作所にて製作し、東京急行電鉄に納入しました。既存の5000系をベースに外板のみステンレス鋼を採用したセミステンレス車両と称される車両で、外板の無塗装化およびメンテナンスフリー化を行いました。

 東横線、田園都市線、大井町線、目蒲線で活躍した後、1986年(昭和61年)に上田交通(現・上田電鉄)に譲渡されました。35年間活躍しましたが、7200系への置換えに伴い、1993年(平成5年)東京急行電鉄に保存のため返還され、その後東急車輛に譲渡されました。

 2008年(平成20年)、東急車輛60周年、このステンレス電車誕生50周年を迎えるにあたり、先輩たちの偉業をたたえ、また日本初のステンレス電車として、その後のステンレス車両の発展に大いに寄与した貴重な車両であるため、東急車輛産業遺産第1号に指定して、誕生したこの地に永久保存することとしました。

平成20年

東急車輛製造株式会社

東急車輛産業遺産第2号

東京急行電鉄デハ7052号車
 日本初のオールステンレス車両7000系

 1959年(昭和34)年12月、弊社は米国・バッド社と技術提携契約を締結し、オールステンレス車両の生産に踏み出しました。部材から組立までのステンレス車両専門ラインの完成、車両用高張力ステンレス鋼(SUS301)の開発、スポット溶接法による構造設計の研究等、2年間の準備期間を経て、1962年(昭和37年)1月、日本初のオールステンレス車両として東急電鉄7000系が落成しました。

 7000系は1962年から1966年までに計134両が生産され、東横線、大井町線、田園都市線などで使用されまた。また、軽量化や無塗装化、そして特に耐食性が良く構体のメンテナンスが容易となったことなどが実績として高く評価され、その後のオールステンレス車両の発展に大きく寄与しました。

 本車両は1965年7月に落成し、2000年6月にこどもの国線での運用を最後に引退するまでの35年間東急電鉄で活躍しました。その後弊社に譲渡され、牽引車として活躍してきましたが、老朽化のため2009年5月に廃車することになりました。

 本車両は東急電鉄最後の7000系であり外観上も冷房改造されることなく、また台車も製作当時のパイオニアⅢ形を使用し原形に近い形で残存されていることから、日本初のオールステンレス車両・7000系を代表して東急車輛産業遺産第2号に指定し、誕生したこの地に永久保存することになりました。

平成21年

東急車輛製造株式会社

地図

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金沢区大川 付近