大阪環状線 福島駅から北に800ｍ。大淀小学校と大淀中学校の中間に八阪神社がある。この境内中ほどに「顕彰碑・関西商工学校発祥之地」と刻まれた大きな石碑が建っている。

「関西商工学校」は現在の「関西大倉学園」の前身で，大阪最初の夜間実業学校として，明治35年(1902) に，初代校長 平賀義美氏によって開校された。平賀氏は大学南校（現 東京大学）に学び，イギリスに留学後農商務省から大阪府立商品陳列所の所長などを務め，産業立国・実業教育振興の理念を提唱。自らこれを実践して 向学心を抱きながら昼間就学困難な青年達のために関西商工学校を創立した。

当初は堂島の市立大阪高等商業学校（現 大阪市立大学）内に仮校舎を設けたが，明治38年(1905) に当時西成郡鷺洲町大仁と称したこの地に、新校舎を建築して移転。更に昭和6年(1931) には3階建ての鉄筋コンクリート校舎を新築した。 この校舎は建築家宗兵蔵氏の設計で，当時壮麗なデザインと堅牢さを誇り，大阪の名建築とうたわれた。空襲にも耐え残り，新学園の本館校舎として、またこの地のシンボル的存在として長く愛用された。

戦後 昭和23年(1948) に「大阪大倉商業学校」と合併し，この校舎で「関西大倉学園」（高校・中学）として新発足し，15年後の昭和38年(1963) に 茨木市室山2丁目に広大なキャンパスを建設して移転した。学園の茨木移転に際し，関西商工学校由来の全敷地は売却され，建築文化財として由緒ある本館校舎を含む建造物は購入者である朝日放送 ABCセンター建設のために一切滅失させられた。これを惜しんだ関西商工OB有志らが，この顕彰碑を建立した。

神社は学校所在地ではなかったが、売却した土地に建てられなかったことから、境内を間借りして建てていたという。

ちなみに，松下電器（現パナソニック）創業者の松下幸之助氏は関西商工学校に入学し，予科に在籍。この地で電気工学の基礎を学んだ。戦後同社社長として母校を訪問した松下氏は，関西商工で学べたことが、自身の人生に大いに役立ったことを、体験談も交えて在校生に話している。

大阪大倉商業学校発祥地としては、大阪大倉商業学校跡地碑が中之島に建てられている。

平成30年(2018) に八阪神社を訪問してみると、同じ背景と思しき場所は存在するものの石碑は無かった。平成25年(2013) に情報をご提供いただいたものは何かの資料のコピーで、その時にすでに無かったのではないかと思われる。

同窓会 会報32号（2016年）によると、平成28年(2016) 8月初旬に八阪神社において、理事長・校長・同窓会長他が列席した移転安全祈願式が行われた後、母校に移されたという。母校とは茨木の関西大倉中学高等学校のことと推察される。

校地跡に朝日放送施設他商業施設が建ったが、平成20年(2008) に新天地へ移転し、解体された。その後はタワーマンションが建設される計画になっている。

なお、なにわ筋歩道の植え込みに関西商工学校発祥之地を示す石碑がある。

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関西大倉中学校・高等学校

写真

碑文

地図

大阪市北区大淀中 付近