近代農学研究・農業教育発祥の地
きんだいのうがくけんきゅうのうぎょうきょういくはっしょうのち
東京大学教養学部(駒場)から 京王 井の頭線を挟んですぐ南西側に“駒場野公園”がある。この公園の中央から西寄りの低地に「ケルネル田圃」と呼ばれる場所があり, ここを見下ろす位置に石碑が建っている。
碑文にあるように, この地は 明治初年に開校した駒場農学校の実習用の農場で, その後も 所属する学校は変わったものの, ずっと実習田として利用されてきて 現在は 筑波大学附属駒場中・高校 の教育田となっている。その意味で,この地は「近代農学研究発祥の地」であり, 同時に「農業教育発祥の地」でもある。
公園内には「ケルネル田圃」についての説明もある。
写真
碑文
水田の碑
駒場農学校の跡地近代農学研究
農業教育発祥の地この水田は 明治十一年 ここ駒場野に開校した農学校の農場の一部でわが国最初の試験田 実習田として 近代日本の発展を支える淵源の一をなした
農学校は いくたびか 学制の変更により 名称を変えて その歴史を継ぐ学校が この地で発展を重ねた
その間この水田は 近代農学研究発祥の地にふさわしい沿革をたどり 国際的協力のもとに初めて 本邦近代農業の研究と教育とが進められ 幾多人材の輩出を見た
本校は 東京農業教育専門学校附属中学校として 昭和二十二年 開校以来右の歴史の流れを継いで この水田を教育の場に活用する栄光に恵まれ 耕作を続けて 本年創立四十周年を迎えた
そもそも 農は 人類生存の基をなす営みである 本校は この水田のもつ歴史的意味に想いを致し 幾多先輩の偉業を想起しつつ これを永く後世に伝えたいと考え ゆかりある方々の翕然たる協力を得て ここにこの碑を建立する
なお 建立に際し 地元目黒区の理解と協力のあったことを録して 感謝の意を表する昭和六十二年十月
筑波大学附属駒場中高等学校
(団体名略)
この水田碑は 右の関係者の方々及び
東京都目黒区の協力によって建立した
ケルネル田圃
ケルネル田圃は, 旧駒場農学校の実習田です。
駒場農学校は, 明治政府が近代農学に基礎をお く欧米農法をとりいれるために, 農業指導者を養 成する学校として明治11年に設置されました。
札幌農学校がアメリカ系統の農業技術を導入し たのに対して, 駒場農学校にはドイツ系統の農学 がとりいれられました。
ドイツ人のオスカー・ケルネルは, 駒場農学校 の教師として招かれ, 日本農業の特質を配慮しな がら農芸化学を応用した実験を中心に土壌, 肥料 などの研究と教育をおこない, 多くの成果を収め ました。
ドイツ人教師ケルネルの名をつけたケルネル田 圃は, 新しい日本農業の指導者を育てた駒場農学 校の実習地の跡として貴重な史跡です。
なお, 駒場農学校は, 後に東京農林学校となり, 東京帝国大学農科大学等を経て筑波大学に継承さ れました。
現在, ケルネル田圃では筑波大学附属駒場中学 校, 高等学校により教育水田として生徒が実習し ています。