利根川 第一期 改修 発祥の地

とねがわだいいっきかいしゅうはっしょうのち

成田線 下総橘駅から北西に2.5km。利根川に架かる橋を川下から“銚子大橋”“利根かもめ大橋”と数えて3番目が“利根川大橋”。 ここから堤防に沿って更に1.5km上流に“利根コジュリン公園”がある。公園のほぼ中央部の堤防上におむすび型の石碑と 「利根川治水百年記念モニュメント」とが並んで建っている。

「利根川第一期改修発祥の地」とはわかりにくい名称だが, 「利根川の治水発祥の地」と名づけた方がよかったのではないかと思われる。

利根川は流域面積が広く, 中~下流になると 傾斜が緩く平野がひらけているため, 広大で肥沃な耕地を生み出した反面, 大雨のたびに洪水に見舞われるという問題を抱えていた。特に明治18年(1885) ~29年(1896) の洪水被害は大きく, このため河口から200kmにおよぶ大規模な改修計画が立てられた。

工事規模が大きいため 人員的・資金的な制約から, 工事は3期に分けて実施された。

  • 第1期:明治33年(1900) ~明治42年(1909) 利根川河口~佐原間 42km
  • 第2期:明治40年(1907) ~昭和5年(1930) 佐原~取手間 52km
  • 第3期:明治42年(1909) ~昭和5年(1930) 取手~芝根間 110km

第1期工事は、この地と現在の佐原市とで着工されたことにより, 発祥地として碑が建てられた。

さらに 昭和14年(1939) からは 追加の工事なども行われたが, 昭和22年(1947) のキャサリン台風で 堤防が決壊。洪水は東京の江戸川区〜葛飾区まで及ぶなど大きな被害が出た。このため昭和24年(1949) から新たな利根川治水計画が進められ, 総合的な治水対策が行われた。

碑が建っている“利根川コジュリン公園”は 利根川の河川敷に作られた自然公園で, 国内でも数少ないコジュリン(ホオジロ科の野鳥)が繁殖するスポット。

写真

  • 利根川治水百年記念モニュメント
  • 利根川治水百年記念モニュメント
  • 利根川改修発祥の地記念碑 碑文
  • 利根川改修発祥の地記念碑
  • 利根川治水百年記念モニュメント

碑文

利根川第一期改修 発祥の地

東庄町長 岩田利雄

記念碑建立の趣意書

利根川の本格的な治水工事は,明治三三年(西暦1900年) 第一期改修工事として佐原~河口間で着手された。同年, 築堤工事が大倉村 (現佐原市)地先で, 浚渫工事が笹川村(現東庄町)のこの地で起工された。
 起工初年度の浚渫工事は, 内務省第一土木監督署笹川工営所が担当した。工事は, 人力掘削で浚渫船作業が併用され, 浚渫された土砂は合わせて約二〇万八千立米であった。
 爾来, 利根川下流でおこなわれた浚渫土砂は築堤にも用いられたが, 大部分の土砂は周辺の湿地, 沼沢等の埋立てに利用された。
こうして利根川下流改修事業は, 洪水防御と共に土地造成を行うという一挙両得の効果を挙げた。
 ここに, 当地先における利根川改修事業の着手を永遠に伝承するため 「利根川第一期改修発祥の地」の石碑を建立する。

平成一二年(西暦2000年)十月 建立

地図

地図

東庄町笹川 付近