金鵄 発祥之地
きんしはっしょうのち
近鉄けいはんな線 学研北生駒駅から北に300m。学研北生駒駅の北方に鳶山と呼ばれる小山がある。鬱蒼とした森林に覆われて荒れた印象だが、人に聞きながら山道を分け入ると、「金鵄発祥之地」と刻まれた古いシンプルな石碑が建っている。
金鵄とは『日本書紀』に登場する金色の鵄。饒速日命(=後の初代天皇・神武天皇)が東征した際に、弓の先にとまり金色に光り輝いたため、敵の長髄彦軍の目をくらませ饒速日命軍が勝利した、という神話上の鳥である。この後、神武天皇は橿原宮で52歳で即位した。
神武天皇と長髄彦の戦いの場は、現在の奈良県生駒市~奈良市の富雄川沿いで、両軍は富雄川を挟んで対峙していたとされる。その際神武天皇軍の陣はここ鳶山の上に置かれ、この地はまさに金鵄が飛来した場所と考えられている。
この地は戦前は“日本建国”の聖地として扱われ、近鉄奈良線 富雄駅も一時「鵄邑駅」と呼ばれたこともあった。現在では全く忘れ去られたように、荒れた山の中にひっそりと石碑が建っているだけである。
なお、金鵄という言葉は現代ではほとんど死語になっているが、戦前は“金鵄勲章”にこの名前が使われていた。金鵄勲章は軍功のあった陸海軍の将兵に与えられた勲章で、日本国憲法施行からは廃止されている(のちに佩用は許された)。
写真
碑文
金鵄発祥之地