宮中 御神楽歌 発祥之碑
きゅうちゅうみかぐらうたはっしょうのひ
学研都市線 大住駅から北西に 1km。大住小学校と大住中学校の間に 月読神社がある。 神社の正面石鳥居に向かって 20mほど左(南)の植え込みの中に隠れるように 黒御影石の石碑が建っている。
“神楽”は 神前に奉納するために奏される歌と舞のことで,宮中で行われる
宮中の御神楽歌は古く,ほとんどは 31文字の和歌。奈良時代から引き継がれた曲調で歌われる。
ところで この宮中御神楽歌が,どうして京田辺の発祥なのかは あまりはっきりしない。碑文に添えられた説明文には 単に「外山は 田辺町大住の外山である」と書かれているのみで, 発祥の地とされる根拠にはなっていないのでよく理解できない。
写真
碑文
宮中御神樂歌発祥之碑
庭燎
深山には
霰降るらし
外山なる
まさきの葛
色づきにけり
御神楽歌
神楽は,宮中の神楽を「御神楽」(みかぐら),一般の神楽を「里神楽」(さとかぐら)と言う。
御神楽で最初に演奏されるのは「庭燎」(にわび)の歌である。深山には霰降るらし 外山なる
まさきの葛 色づきにけり
色づきにけり歌中にある外(と)山とは,山城大住(田辺町)の外山(中心山荘が建つ丘)で,ここに上ると,遙かに南に深(み)山に当る神秘的な甘南備山(かんなびやま)が拝され,この歌そのままの気分になる。
深山にはもう霰が降っているらしいが,ここ外山はまだやっとまさきの葛(かつら)が色づいたばかりである--霜月(旧11月23日頃)の招神の歌にまことに相応しい歌である。
この名歌によって太平の昔,大住の里人たちがこの外山に神籬(ひもろぎ)を造り,甘南備山から月読神を迎え,暁に及んで,麓の端(は)山「月読神社」(つきよみじんじゃ)に遷した光景がしみじみと偲ばれる。
- 文学博士
- 志賀 剛 先生著
「日本の芸能の主流」より- 碑文
- 常岡一郎 書