人工雪 誕生の地
じんこうゆきたんじょうのち
札幌駅の北西1km。北海道大学の クラーク会館から構内の道路を北へ300mほど進むと, 総合博物館の先の“ファカルティハウス・エンレイソウ”の玄関前東側に, 六角形の白御影石の石碑が建っている。
石碑の隣には, 札幌市北区役所が設置した「北区歴史と文化の八十八選」の一つとして 「人工雪誕生の地」の説明板が建てられている。ここは, 昭和11年(1936) に 北大理学部の中谷宇吉郎教授が, 世界で初めて雪の結晶を人工的に作ることに成功した場所。研究を始めてから3年目にしてようやく成功したという。
その後 研究が重ねられ, 降ってきた雪の結晶を見て どのような気象条件のもとで生まれ 成長したかを 逆にたどることが可能になった。中谷教授は「雪は天から送られた手紙である」 という言葉を残している。
写真
碑文
人工雪誕生の地
この地は 昭和10年10月 常時低温研究室が建てられた場所である 翌年3月 ここで理学部物理学科 中谷宇吉郎教授が 初めて雪の結晶を人工的に成長させることに成功した 人工雪の実験は 同年10月天覧の栄に浴し さらに数年たゆむことなく続けられ ついに雪結晶生成機構が明らかにされた この研究により同教授は昭和16年5月 日本学士院賞を受けた
その後も この30平方米余の小さな低温室からは 凍上 雷 着氷 円板氷結晶などに関する数々の先駆的研究が産み出された これらの研究成果は本学低温科学研究所創立の機運を導き またわが国 雪氷学・雲物理学発展の基盤となったばかりでなく 国際的にも高い評価を受けた この研究室は昭和16年 低温科学研究所分室となったが後同所の拡張移転に際して理学部所管となり 昭和53年8月その使命を終えて撤去された
われわれはこのゆかりの地に碑を建て北海道大学 が世界に誇る雪氷研究の原点を永久に記念する昭和54年7月4日
人工雪誕生の地記念碑建設期成会