ういろう 伝来之地

ういろうでんらいのち

博多駅の北西800m。臨済宗の寺“妙楽寺”の本堂前に「ういろう伝来之地」と刻まれた大きな石碑が建つ。

実はこの「ういろう」は、名古屋の名物となっている菓子のことではなく、薬の名前だという。中国は元の時代、“礼部員らいぶいん外郎ういろう”という名前の官職があった。この「外郎」が「ういろう」の由来である。

元が滅亡して明朝が興ると、「礼部員外郎」であった陳延祐が日本に亡命し妙楽寺に住み、陳外郎を姓とした。その子陳外郎宗奇は明にわたって医学を修め、気付け・胃腸薬「透頂香とうちんこう」を日本に伝えた。これを陳外郎の名前をとって「ういろう(外郎薬)」という名前で売り出した。ところが、「透頂香」は大層苦いため、口直しとして米粉で作った菓子を添え、これが現代の「ういろう」になったという説がある。

つまり、もともと薬の名前だった「ういろう」が菓子の名前になったという。後に陳外郎の子孫は小田原に移り住み、薬とお菓子を扱った。

ところで余談だが、最近小田原の外郎家が名古屋の「青柳ういろう」に対して、「ういろう」の名前の使用を差し止める訴訟を起こし、最高裁が「ういろうの名前はもはや菓子の一種を示す普通名詞だ」と訴えを退ける判決をくだした。鎌倉時代に遡る菓子の名前が現代の裁判で争われるとは、大変興味深い。

写真

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  • ういろう伝来之地(2017)
  • ういろう伝来之地(2017)

碑文

ういろう伝来之地

昭和62年5月
住持 桂堂 建之

地図

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博多区御供所町 付近